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2023年3月15日
2023年不動産マーケット短観
在位70年を祝うプラチナムジュビリーからエリザベス女王が崩御され国中が悲しみにくれた2022年から一転、2023年はコロナの騒動も落ち着きを取り戻し、入店人数制限やマスク着用などの規制は2022年夏頃には全て撤廃されました。もはや平時に戻ったと言えるかと思います。
BREXITを経た今もなお英国への人口の流入は止らず。2022年6月にはVISAの発行数がレコードとなり、全てのカテゴリーで前年を上回りました。(2019年の数値と比較して72% 増) これは企業で働くEXPATや留学生が共に増えていることを示しますが、欧州大陸に比べて一早く国が回復し就労機会も増えており就労賃金も安定していること、またアジア人留学生が大学進学の際に英国を選択する傾向がより顕著になっていることに起因します。
そんな中、2022年10月に就任した英国リシ・スナク首相。初のインド系の首相としても注目を浴びていますが、目下の課題は金融緩和によって負担が大きくなっている政府や英国経済をどのように経済を立て直し発展させていくかに注目が集まります。
コロナによる一時的な経済悪化は世界各国でも共通の課題ですが、スナク首相もいち早く反応し、就任以降段階的ながらも利上げを早速実施し金融の引き締めに入る共に欧州やインド圏との貿易連携を進めるなど一連の政策がすすめられています。
不動産のマーケットに与える影響
■賃貸マーケットにおける様々な影響
1979年に就任したサッチャー政権時からの住宅供給数の抑制の流れは今でも変わらず、需要(お部屋を借りたい入居者さん)に対して供給(お部屋を貸したい大家さん)が圧倒的に少ない状況が続いています。前述でもありますようにBREXITを経た今に至っても人口流入が止まることはなく、この流れはしばらく(少なくともここ数年ということではなく)続いていくものと思います。
添付写真はRPIという物価上昇率を示す指標です。
2022年12月で9.2%という数字に表れているように物価は毎年上昇しており、これは不動産における賃貸借契約書における家賃にも反映されていきます。英国では毎年家賃が上がっていくことは一般的ですが、家賃に加え光熱費やインターネット費用、食費などの生活費の高騰は避けられない状況にあります。 特に電気代は1.5倍程度に上昇してきており、ワークホームを望まずオフィスへの出社を望む人が増える程です。
駐在員を派遣している企業様からは家賃上昇を表す資料を求められるケースが増えてきております。
■売買マーケットにおける影響
金利引き上げに伴い、融資によって不動産を購入している方が維持できなくなり物件を売却される大家さんが増えてくることが想定されます。
実際にこの動きは2022年の秋以降に少しづつでてきておりますが、いわゆる変動金利で融資を受けている方の中には5%を超える金利条件で借りている方も少なくありません。もちろん家賃上昇分でのこの利上げ分を飲み込めればよいのですが、一部の大家さんは手放さざるを得ない方も出てきています。
このような状況になってくるとキャッシュバイヤー(融資を要せず現金で購入されるお客様)は一気に立場が強くなりとても有利に働きます。また大手ファンドや投資会社は『待ってました』とばかりに一気に物件購入に舵を切り始めている状況です。
新聞などでも見受けられるように日本企業を含めた法人や投資家層がロンドン市内で一棟ビルを購入し始めている事象にはこのような背景があると考えられます。
日本ではよく『住まいは賃貸が得か、売買にて購入が得か?』という議論がありますが、イギリスでは『基本的には売買にて不動産購入』という考え方が多くあります。
これは経年しても不動産価格が上昇していく歴史があり、不動産売却時にキャピタルゲインが得られること、また家賃も上昇していくためになるべく早い段階で物件を購入し、生活環境に合わせて物件の売却と購入を継続していくということが一般なライフスタイルによるものです。
また経済政策の一環として印紙税(Stamp Duty)という不動産購入時にかかる費用(日本の不動産取得税に性質は似ています)も減額特例の措置が行われています。上記の賃貸マーケットでも述べましたが、家賃高騰は歴史的な問題ですが、特に若い方などの初めて物件購入をする方に対し少しでも物件を購入し易いような政策がとられています。この減税や法人名義や海外投資家にも適応されていることからも日本人や日系企業様の購入者にも適応になることもポイントです。